データとエンジニアリングのよもやま話

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No.16 Personalization contributes saving energy ?

先日は、アースデイ(Earth Day)でしたね。
アースデイ - Wikipedia
本日は、それに貢献するネタ?を一つ書いていきたいと思います。

省エネ情報サービスを展開している企業で、注目されている企業にOpower社があります。
その会社のブログを時々眺めているのですが、その中で気になった記事について、訳を交えながら、紹介していきます。

Opower社について

まだ日本には馴染みがない会社ですが、世界的には、既に有名な企業のようです。
公式サイト(Company Overview | Opower)から拝借すれば、

  • 2007年設立
  • 本社はアーリントン群、その他、サンフランシスコ、ロンドン、シンガポール、東京にオフィス有
  • 8ヶ国の93の公共サービス会社とパートナー締結
  • 3,200百万世帯へのサービス展開
  • 40億kWhの省エネ実現(発電所(1基)の約33日出力分に相当) などなど

と、省エネ分野では、既に大きくビジネス展開している会社です。

実は、既に、東京電力とも業務提携しているようです。
参考: 東京電力との業務提携と日本オフィス開設 | Opower

では、そんな省エネサービスを展開しているOpower社は、どうやって省エネを実現(顧客へ促進)しているのか?彼等は、何らかのエネルギー計測器/センサーを販売しているわけではなく、データ分析に基づいた省エネレポートを配信するビジネスモデルを採用しています。
参考: オープンデータビジネスモデル(1) Opower、エネルギー事業者の顧客対応業務をアンバンドル | オープンデータとオープンガバメントを推進する Open Knowledge Foundation Japan

今回の本題

今回、紹介するのは、Opower社のブログの「Want to increase your email open rates by 14%? Opower’s behavioral science experts have some advice.」(あなたのEメール開封率を14%上げたい?Opower社の行動科学の専門家から幾つかアドバイスします。)を追っていきます。

Opower社が、Eメールの開封率について説いている背景は、彼らが省エネレポートをEメールでも配信しているからです。となれば、開封率の向上は重要な関心事になります。何故なら、どんなに優れた省エネレポートを作成しても、顧客が「開封」し、それを閲覧しなければ、そもそも意味がなく、省エネにも結び付きませんよね。どのように開封率を向上させているのか?

When Opower sends out our digital Home Energy Reports, we include the utility customer's name in the subject line. Why? Because it lifts open rates.

(我々Opower社が家庭用エネルギーレポートを送る際、件名には、顧客の名前を含めます。何故か?そのほうが開封率を上げるからです。)

これについて、どのように知り得たのか?その理由が記載されています。

Personalized subject lines are a best practice in email marketing, with industry analysis suggesting it can increase open rates more effectively than using frequent capitalization or common marketing words like "free." In the United Kingdom, the Government's Behavioural Insights Team (also known as the “Nudge unit”) has, for example, achieved success in collecting traffic fines from people when including people's names in text messages.

(パーソナライズ化された件名は、Eメールマーケティングにおける最善のプラクティスとなる。産業分析では、現金還元、又はマーケティングにおける常套句である「無料」を多用するよりも、より効果的に開封率を向上させ得ることを提起している。例えば、英国の王室行動研究チーム[ナッジ・ユニットとしても知られる]は、テキストメッセージに人々の名前を含めることにより、より人々からの反応を集めることに成功している。)

Basic subject-line personalization in customer communications was one of the first strategies that Opower tested in driving digital engagement among utility customers. Multiple rounds of randomized controlled trials (an especially careful form of A/B testing) showed clear and consistent results of personalization: open rates and click through rates in electronic communications increased by an average of 14 percent from what is typical in the utility industry ? which exhibits relatively high levels of open rates to begin with.

(顧客コミュニケーションにおける基本的な件名パーソナライズ化は、公益企業で、Opower社がデジタルエンゲージメントを推進するべくテストした最初の戦略(的取組み)である。度重なるランダム化比較試験(A/Bテストのより注意深い形式)は、パーソナライゼーションについて明白かつ首尾一貫とした結論を示しており、公益企業においてウェブにおける開封率やCTRが平均14%も向上している。それは、当初としては相対的に高い開封率であることを表している。)

上記の手法だけではなく、他にも、

  • 省エネアドバイスは、各家庭について知っている情報や最近の閲覧履歴に基づいている。
  • 独特な電力消費プロファイルを持つ家庭には、詳細なパーソナライズな分析により、彼等がエネルギー消費をより理解し易くより管理しやすいようにする。
  • 過去の消費履歴よりも多い場合は、顧客への請求までの期間が十分ある場合において、警告を発する。
  • サーモスタット(室温調整)ソリューションは、個々の家庭のライフスタイルに合うようデザインされている。

と、いったことがサービスに実装されているとのことです。

恐らく、小売りやECビジネスに関わる方であれば、「パーソナライズ化」されたサービスの取組みは、色々となされていると思うのですが、公益系では、まだそのような取組みは皆無に等しいかと思います。他業種からみれば、メール開封率やCTRの向上、個々人の特性に合わせたマーケティングを実践するのは当然という認識なのでしょうが、エネルギー関連で、上記のような取組みを実践し、省エネ促進をするビジネスを作り出したのは、新鮮ですし、興味深いところです。

最初のOpower社の紹介で、かなりの省エネに貢献していることを挙げましたが、パーソナライズ化された「メッセージ」は、省エネ(促進)にも貢献するようですね。

今後、日本において、よりサービスが浸透してくれば、誰しもが、エネルギー消費のレコメンデーションを受け取るのは至極当然になってくるのかもしれません。(ただ、省エネ効果は、海外と日本では単純比較できないでしょうが。)

こんな具合に↓↓
「この温度への設定をおススメします。この温度から設定が著しく違う場合、毎月XXX円の超過支払が発生します!」
う~ん、結構な効果があるかもしれないな。。(笑)